ときのほとり

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日常歌

捨てもせず使ふでもなき紙袋家具のあはいにたまりゆくのみ

梅雨雲の切れし間より覗く空想いがけなき高さに青し

放りしが屑入れにすぽっと入りたり何か良いことある想いする

ゴーヤ貰ひ網を買ひ着て待ちをれどいつになるのか日除けとなる日

夏服に入れ替えながら着ることの無かりし冬服多くを惜しむ

はやばやと週間予報知らされてまだ来ぬ先の暑さおそるる
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by fumi2718 | 2013-06-24 17:36

仲夏

野ざらしと歩む芭蕉よ谷中より花は津軽と云い給うかも

雨後にぐうんと若枝伸ばしたる薔薇の芽は子規の歌のとおり 紅

かがやきて生きているかと問ふごとく向日葵のカード友より来たる

樹がまとう蔓あじさいの花あかり照らす手もとに詩は拾われぬ

よろこびを広げつつ咲く向日葵か空の悲しみ絶ちて微笑む

これの世とかの世のほかに歌の世のありといつより思ひそめしか

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by fumi2718 | 2013-06-21 19:40

梅雨の午後

一滴のレモンが紅茶を染めかへるひとりの午後の閑かなる時

雷の遠くとどろく水無月のかすかな光に紫陽花は咲く

水道の水が水でないぬるさつるべで汲みし水が恋しき

洗面台に水いっぱいを張りつめて梅雨半ばなる顔を沈める

断捨離へ気合を入れて整理する終の棲家のカタログふやし

あみだくじ辿るがごとくにパトカーは渋滞の道走りぬけたり

言葉とは危ふき橋ぞさはあれど渡るほかなしけふもその橋
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by fumi2718 | 2013-06-20 13:42

道べの花

あの時のあの花今年あるかしら思いの丈は合歓にとびゆく

樹にあふれ合歓の花咲く夕べ来てひと日の疲れここにて払う

つれづれの土手の散歩に詠む歌の友となりたる道べのくさぐさ

むらさきの弾ふくらみて夕闇にはじける音すかすかに桔梗

「 無人島の天子とならば涼しかろ」漱石の句に涼みまどろむ
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by fumi2718 | 2013-06-17 22:10

青水無月

何色に咲くとも優し紫陽花の共に濡れゐる面影もちて

花のいろ深くなりゆく紫陽花を雨が包みぬ六月の朝

オレンジの皮むいてとぶ甘き香と雨音といる土曜日の午後

私とふ体に入りしたましひをしばしみつめていたき水無月

風の窓陽の射せる窓花の窓人待つ窓よ雨にけぶれる

いつしかに大きくなれる梅の実のみどりの玉は雨に濡れゐつ

一日が飛ぶ様に昏るる花鉢を少し移すも仕事のひとつ
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by fumi2718 | 2013-06-16 10:00

その日・その日

かぎりなく力を持ちて夏は来ぬどしゃぶりの雨白き雲の峰

特売のとうもろこしは山梨産まづは二つ三つ籠を重くす

引きつづきあしたも生きているつもり赤い地玉子籠に満たして

捨てかけた佛花一束びんにもどすまだ生きている蕾が一つ

こころとは身の裡どころにひそむやら時には弱く時には強し

穏やかに生きたきものよ頑なにねぢれし柘榴の大樹見てをり

短歌とは世をはばからず縦横に詠みぬけばよしかまふことなく
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by fumi2718 | 2013-06-15 09:53

花芯

初夏のシャクナゲ咲ける道ゆけば花ほのゆらぐ朝日に照りて

夏萩の淡き小花のゆれ見つつ水子地蔵は石の上に立つ

ものごとに相性あるは常ならむあじさいの花は雨降るがよし

降る灰も咲くべき花もときのまま阿蘇中岳は噴煙を上ぐ

駅の名を問われて人を知りそめぬ花の蕾のほどけゆく頃
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by fumi2718 | 2013-06-12 20:34

生きる糧

f0284880_17282039.jpgあざやかな始めと終わりあることを思へり心にのこる一首は

秀歌とは誰の定めることみづからの心にかなへばそれのみに足る

うたはわが心の支えとおもへども老後の面倒見てはくれない




過ぎてゆく一日一日にひた生くるうつつわが身に従ひながら

歌に生き歌に終わらむ一生なれ今日も地の果て日は沈みゆく

☆色紙はお正月に書いたものです。

安らかにひととせあれよ刃のごとく
       合歓の冬枝に来し新(にい)ひかり
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by fumi2718 | 2013-06-10 17:29

暮らしの中で

非常時の持ち出し袋に入れておくもしものお金ときどき借りる

これくらゐの贅沢ならば良からむとゆるめし財布の紐が締まらず

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あすなにが変はるこの世か知らぬともこよひ心底笑って過ごそう

変わらずにいるように見えて移りゆくいのちのような雲の流れは

事もなく日日の過ぐるを善しとして生き来しわれと思ふ今なり

ことば選び短歌を詠めるわれなれど話す言葉の何と貧しき
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by fumi2718 | 2013-06-08 17:16

明日あることを

f0284880_19535042.jpg言いたきを言わぬ分別残り火のようで珈琲二杯目を注ぐ

メダカに餌忘れぬようにと出かけゆく夫が言いたり靴を穿きつつ

夫の厚さわたしの厚さにパンを切るこの朝今日がまだ新しい

黒南風の吹きぬけてゆく庭に干す白き二枚のシーツ膨らむ

若き日にうたと出会ひてよりのちを読み詠む読み詠むこの日つづけ
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by fumi2718 | 2013-06-07 19:53